今回は(ペットに入れる)マイクロチップについて書いてみたいと思います。
前回の「ペット用GPS首輪」の続きです。
前々回の記事で「マイクロチップ」に関して少し触れました。 その後、個人的にもマイクロチップに関してどういうものなのか興味が湧きもう少し調べてみましたので、書いてみたいと思います。w
---
マイクロチップとは…
マイクロチップは、直径2㎜、長さ約8~12㎜の円筒形の電子標識器具で、内部はIC、コンデンサ、電極コイルからなり、外側は生体適合ガラスで覆われています。
それぞれのチップには、世界で唯一の15桁の数字(番号)が記録されており、この番号を専用のリーダー(読取器)で読み取ることができます。
動物の安全で確実な個体識別(身元証明)の方法として、ヨーロッパやアメリカをはじめ、世界中で広く使われています。
わが国でも、近年犬やねこなどのペットを中心として利用者が急増しています。
です。(環境省自然環境局)
↓今回の記事の基本的な情報はこちらの引用です(一番信用できるかなと…w)
◇マイクロチップを導入する意味
これまでずっと言われてきた「マイクロチップを導入する意味」は…
- 突然の迷子
- 災害
- 盗難
- 事故
が起きた際に、ペットは自分の名前も住所も言えないので、その代わりにマイクロチップによる「身元証明をする」という意味がありました。 しかし、最近ではそれだけではなく「遺棄の防止及び遺棄された動物の飼い主(犯罪者)の捜索」の為のものという意図が加わってきました。 この遺棄の内容には「悪徳ペット販売業者(悪徳ブリーダー)」も含みます。
★マイクロチップそのものに関する情報は、上記政府のリンクが一番分かりやすいと思うので、そちらをご覧ください。
今回はデータから見る実際 に焦点をあてたいと思います。
◇収容に関するデータ
ここでリアルなデータを見てみましょう。
保健所などに引き取られ、殺処分された頭数のデータです。
どうか目を背けずにしっかり見てください。
平成25年度
◇犬
引き取り総数:114,813
飼い主から
成熟個体:10,096
幼齢の個体:1,673
所有者不明
成熟個体:39,729
幼齢の個体:9,315
処分数
返還数:15,130(全体の13%)
返還数のうち幼齢個体:79
譲渡数:16,950(全体の14%)
殺処分数:28,569(全体の24%)
殺処分数のうち幼齢個体:4,373
◇猫
引き取り総数:115,273
飼い主から
成熟個体:11,467
幼齢の個体:13,700
所有者不明
成熟個体:23,726
幼齢の個体:66,380
処分数
返還数:305(全体の0.2%)
返還数のうち幼齢個体:79
譲渡数:16,023(全体の13%)
殺処分数:99,566(全体の86%)
殺処分数のうち幼齢個体:59,387
です。
但し、この数値には負傷によるもの(事故回収)を含みません。
◇収容データから分かること
引き取り数は「飼い主から依頼されたものと通報などにより回収されたもの」に分けられます。
飼い主から依頼される数の意外と多い事…。 もちろんこの中には「飼い主が高齢で亡くなった」などのやむを得ない理由があると思います。ですが、(しつけられないとか)手に負えなくなったとか、飼えなくなったとかの理由で引き取られる個体が最も多いのではないでしょうか?
これはあくまでも人間の理由によるものですね。
そして「飼い主から→幼齢の個体」というものは、生まれてしまったけれど、経済的に飼うことができないなどの理由から引き取り依頼されたものと思われます。(それぞれの項目に関する説明がないので予測です) 本来飼うことができないとわかっているなら、去勢させるというのも飼い主の責務なのですが、それを怠り出産させて、飼えなくなったから引き取ってもらうというのも都合が良すぎる気がするのですが、捨ててしまうよりはマシということでしょうか…。
これも人間の一方的な理由です。
次に「所有者不明→幼齢の個体」ですが、これは「捨て犬・捨て猫」の類だと思われます。
ここではっきりと差が出ているのが、犬と猫の差です。
犬→所有者不明→幼齢の個体:9,315
猫→所有者不明→幼齢の個体:66,380
捨て猫は捨て犬の7倍も居るんです。
これも人間の一方的な理由です。
次に返還数は「無事に飼い主の元へ戻ることができた数」だと思われます。
犬は13%なのに対して、猫は0.2%とこれまた差が顕著です。
次に譲渡数は「誰かが新たな飼い主となり引き取ってくれた数」だと思われます。
つまり、収容されて殺処分される前に、優しい方に引き取っていただけた(命を助けてもらった)個体の数です。
こちらは犬も猫も割合はほぼ同じ。
最後に殺処分数は「収容されてから3〜7日」(飼い主による依頼の場合は即日)に殺処分された数です。
犬→殺処分数:引き取り数の24%
猫→殺処分数:引き取り数の86%
犬も猫も引き取り数(収容数)はほぼ同じ。そして譲渡数もほぼ同じ。 なのになぜ猫の殺処分数がこれほどまでに多いのでしょうか?
決定的な違いは「飼い主の手に戻らない(返還数が低い)」事です。
—
重い話が続きましたが、マイクロチップに戻ります。
実際にリアルなデータを見ていただいてどう思われたでしょうか??
もちろんマイクロチップを入れないよりは入れたほうがいいと思いますが…。
ただ、それ以外にも「首輪に(連絡先などの)名札をつける」などのマイクロチップ以外のやり方はある気がします。 自分の子供にはランドセルとかにつけさせますよね? 場合によっては小学生に携帯を持たせる方もおられる位ですし…。
しかし「災害時などに暴れて首輪が外れてしまう」ということがあったらしく、より「マイクロチップの導入」を推進する声が高まっている様です。
そう考えると「首輪だけでは完全ではない」のかもしれません。
因みに…
平成25年の犬登録数:6,747,201
平成25年の猫登録数:(全国区の資料が見つかりませんでした)
で、犬は登録数の1%が収容されている(25年度登録数と25年度収容数なので、確実な%データになりませんが…)ことになります。
つまり極端な言い方をすれば、大きな公園に犬が100頭遊んでいたとしましょう。そのうち1頭は収容されているという計算です。
—
◇マイクロチップの問題
現在、マイクロチップが完全に安全であるということは言えません。
外国では「マイクロチップが癌を引き起こす」、「マイクロチップが入れてあったのに、保健所で検知することができずに殺処分されてしまった」ということもあったようです。
今現在、マイクロチップは義務・強制ではありません。
あくまでも推奨であり、飼い主に委ねられています。
また、日本の法律でも「近々動物販売業者に、今後販売する動物に対してマイクロチップを義務付ける」という予告がされていたりしますが、まだ確定ではありません。
---
ペットの生活および生死は飼い主に委ねられており、群れボスたる飼い主がどのように振る舞うかでペットたちは幸せになったり不幸になったりします。
言い方を変えると「ペットにとって飼い主は、神であり、ボス」なのです。 その責任を全うできる形でペットを飼っていただけたらと思う、今日この頃です…。
m(_ _)m
●迷子のペットを探す技術 その4 を書きました。