最近、一枚の写真を複数の人で同時に見て「同じ写真なのに違う色に見える」という写真が話題になっています。
それがこちら↓
みなさん、このドレスの色は何色に見えますか?
是非、複数の人で同時に見てください。
そして、時間をおいて(または別の日に)見てください。
すると違う色に見えます。
不思議ですよね??
「青と黒」と「白と金」にハッキリと分かれます。w
今回はこの理由について解説・証明します。
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実はこれ、簡単な原理(脳の認識方法の違い)なんです。
一説には「偉い先生にもわからない」との事でしたが…全くそんな事は無く…。写真(グラフィック)をやっている人にはすぐ分かる簡単な、基本的な原理です。
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以下、ネタバレ(解説)です。
原理
目には「明るさに対応して絞りを開けたり閉じたりといった機能」があります。 しかし目というのはそういう単純なものではなく、実際には脳がそれらを判断して(経験則から)どのようなものなのかを判別します。
そしてこの写真のドレスが違う色に見えるのは「脳が順光と逆光のどちらに判断したか」によって変化しています。
- 順光と判断した場合 青と黒
- 逆光と判断した場合 白と金
です。
この写真はよく見るとそれを錯覚させるちょうどギリギリのところにBrightness(明度)を持ってきているので、見るたびに違うものに見えます。つまり「脳を騙しやすい画像」になっているのです。
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証明
ではその原理を証明してみましょう。
ここから下へ縦にドレスの写真をずらっと並べてあります。
皆さんは画面の中央付近を見ながらそれを(止めずに)スクロール(スマホならスライド)し続けて見てください。
最初の一枚はかなり多くの方が青と黒に見える筈ですが、スクロールしていくうちに「どこかの瞬間で白と金に変わる」というのが体験できます。
いきますよ〜
用意…
===START!!===
スクロールし続けてください!
===STOP!!===
いかがですか?
皆さんどこかのタイミングで白と金に変化してしまったのではないでしょうか??(^_^; また、ゆっくりとスクロールすると、中間辺りで脳が迷っている(両方の色に見える)のが実感できると思います。
では、今度は逆にスクロールしてください。 青に戻りますよ。
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解説
まず、「このドレスの本当の色は青と黒」です。
そして「上記の画像は色調整していません」。
※厳密には「Brightness:明度」の変更を行っているので、色調整の一部ではあるのですが、色ではなく明度を変更しているところにご注目ください。
その証拠にこの画像データのRGBを見ると…
地色部分: | R101 G102 B130 |
ストライプ部分: | R82 G68 B42 |
地色部分はデータ的にも間違いなく青で、ストライプ部分がちょっと黄色に近いような赤が強い黒です。
同様に先ほどの「一番青と黒に見える画像」と「元データ」と「一番白と金に見える画像」を並べると…
■一番青と黒に見える画像明度:-100 地色部分: |
|
■元の画像明度:+-0 地色部分: |
|
■一番白と金に見える画像明度:+100 地色部分: |
という感じです。
ここで注目して頂きたいのが「色の配分(それぞれのRGBの横に%で表示した部分)」です。 若干の誤差はあれど、ほぼ一致していることがお分かり頂けるでしょうか?
つまり、これらの画像は「明るさは変化させているが、色は変化させていない」画像なのです。
一切の色調整は行っておりません。
今回調整したのは「Brightness:明度」だけです。
実はこの明度によって、見え方(逆光なのか順光なのかという脳の判断)が変わってしまうのです。
この「明度」…例えば…
- モニターによって違う
- テレビによって違う
などの見る機器によっても違いますし、見る環境(スマホなら自動明度調整がある)によっても違います。
背景
また、背景の配分も重要で、この写真の背景は若干飛んでいる(白っぽくなっている)状態ですが、色要素は残っています。
全体を暗く処理した場合、全体的に「見える」ようになるので、元の色である「青と黒」が見えます。
逆に、全体を明るく処理した場合、全体的に「見えない」ようになるので、逆光と判断され、「白と金」と判断されます。
これが「順光なのか逆光なのかの判断を鈍らせる」一因になっています。
もう一つ背景について面白いものを出しますと…
元画像を上半分と下半分に分けてみる
この写真はドレスが白と金に見えませんか?(人によりますが)
↑↓同時に見るとどちらかに引っ張られるので、片方だけ見えるようにスクロールしてください。
続いて下半分です。
いかがでしょう?今度は青と黒のドレスに見えませんか?
※この二つの画像は元画像を半分に割っただけのものです。
このようにドレスの柄の配置、及び背景が見える見えないというものもドレス色が変化して見える要因になっています。
白の暗部色が青である
白の昼間の暗部色(影の中の色)が青です。 白が影の中に入り、太陽以外の光が入る可能性がないとすると、暗部には空の色「Skyblue」が見えます。 そして、人の目は自然とそれを認識しているため、「青っぽい白」と捉えやすいのです。
黒は金の元の色である
黒という色は金の元の色です。 というのも金や銀は反射色なので、基本的に色を持ちません。 色バランスが完全な黒であった場合、銀に見え、赤と黄を含んだ反射色は金に見えるのです。
また、黒縞の部分にノイズが混ざっており、先ほども「RGBで言うと若干黄色い・赤に近い色」と書きました。これを明るく捉えると黒ではなくなってしまい、金に見えやすくなってしまいます。
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なので全体の明度を落とすと背景が良く見えるようになり「順光(室内または影の中での撮影)」と判断され、ドレスは青と黒に見えます。
逆に明度を上げると「逆光(屋外でドレス向こう側から日が当たっている)」と判断され、ドレスは白と金に見えるのです。
そして、これらの要素によって「脳が順光なのか逆光なのかの判断をし、青と黒に見えたり白と金に見えたりする」という事だと思われます。
つまり「一種の錯覚現象」です。
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どうですか? スッキリしましたか? (^_^;
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